営農情報栽培品目:小麦、大豆栽培面積:約155ha-経営のご状況について教えて下さい。総面積が155町で、その内秋まき小麦が75町、春まき小麦が40町、大豆が40町です。輪作体系は大豆⇒春まき小麦⇒秋まき小麦で輪作している畑と、小麦を連作する畑の2種類あります。①小麦と大豆は同じ機械で全部作業ができる為、農業経営における費用対効果が高まること、②栽培する品目を絞ることで、限定的な人手でも適期作業ができること、の2つの理由から小麦と大豆に特化して営農しています。-農業経営で大事にされていることは何ですか?効率的な経営も大事ですが、誰もやっていないことをやる方が楽しいです。そんな経営は無理って言う人もいますが、無理って言われることをやる方がやりがいを感じます。なんでもやってみないと分からないですよ。MFM社員とのインタビュー風景右奥から近隣農家の小笠原さん、田中さん-CropScopeを導入した経緯を教えて下さい。導入するにあたり、実は経営のことは二の次でした。何かを求めてというより、誰もやっていないことをやってみたいという思いでCropScopeを導入し、実証実験に協力しました。それに伴って経営もついてきたという状況です。毎年同じことをやっていてもつまらないですし、こういったことに協力することで自分の技術的な成長にも繋がると思っています。-CropScope導入後の効果はいかがですか?秋まき小麦と春まき小麦への可変基肥と可変追肥を行いました。品目可変基肥のベースデータ可変追肥のベースデータ秋まき小麦前作収量マップ植生(NDVI)マップ春まき小麦推定土壌窒素量マップ植生(NDVI)マップ結果として、秋まき小麦への可変施肥では定量施肥をしたエリアと比べ、施肥量を約22%削減したにもかかわらず、収穫量は約17%も増加しました。植生のバラつきも改善されました。また、春まき小麦への可変施肥では定量施肥をしたエリアと比べ、施肥量を約15%削減したにもかかわらず、収穫量を維持することができました。 植生や推定土壌窒素量に基づいた可変施肥をすることで、肥料コストを削減した上で、収穫量を維持・向上できるということが分かりました。-CropScopeを導入してよかった点はありますか?とにかくシンプルなツールを求めていましたが、その声が反映されて操作もシンプルで使いやすく、誰が使っても分かりやすいものになっていると思います。CropScopeはこれからも進化し続けるサービス。ユーザーである農家目線の声を反映して、これからもより良いものに変わっていくと思います。ユーザーの声を取り入れながら、一から作るものは絶対いいものができますよね。あとは今回の実証実験に協力したことで色々な人と出会う機会が増えたということもよかったです。様々な情報を手に入れることができました。-導入を検討されている方へ一言お願いします。将来的には可変施肥が主流になってくると思いますが、現時点では「収量が増えない=効果が無い」と判断してしまい導入に踏み切れない人も多いと思います。ただ、可変施肥の本来の目的は、「収量を維持して、肥料費を下げること」、「生育を平準化すること」であり、収量以外にも目を向けることが重要だと思います。また、こういった先進技術は今のうちに取り組んでおかないと次の技術が出てきたときに対応ができなくなる可能性があります。担い手不足が加速する日本の農業において、データに基づいて農業が完全自動化される世界がいずれやってきます。ですが、一足飛びに完全自動化の世界に行くことはできません。その過程において、今のうちからデータに基づいた農業に取り組んでおくことは、とても大事なことだと思います。-CropScopeを活用した今後の展望はありますか?新しい作物への挑戦というのも面白いと思います。補助金動向にもよりますが、子実用コーンを作ってみるのも良いですね。刈取部のアタッチメントを替えることで、小麦や大豆と同じ収穫機を使って収穫ができるので、今ある設備を活かしながら輪作体系に組み込むことができます。まだ情報が少ない作物なのでCropScopeの衛星データを活用しながら圃場の特性に合わせた施肥を行いたいと考えています。CropScopeは新しいチャレンジをするときのサポートの一つになると思います。 左から近隣農家の細野さん、小笠原さん、田中さん