営農情報栽培品目:小麦、馬鈴薯、大豆、小豆、甜菜、長芋栽培面積:約50ha-CropScopeを利用する前のお悩みや課題について教えて下さい。この辺の土地は地質のばらつきがあって、黒土と粘土質土壌の境目が極端に分かれています。作物の収穫量のばらつきをなくすためにはその地質のばらつきをとらえて施肥の戦略を考える必要がありました。ただ、これまでの手動のやり方ではそれを実現することがなかなか難しいという課題がありました。-CropScopeをどのように活用されましたか?推定土壌窒素量に応じた施肥マップを作成し、馬鈴薯圃場で全層の可変基肥を実施しました。推定土壌窒素量が少ないエリアには増肥し、多いエリアには減肥を行い、定量施肥を行ったエリアと比較を行いました。(定量施肥区:窒素量20㎏/ha、可変施肥区:同16-24㎏/ha)-結果はいかがでしたか?推定土壌窒素量に応じて可変基肥を実施したことで、定量施肥を行ったエリアと比べ、可変施肥を行ったエリアでは施肥量を維持したまま、収穫量が全体平均で約10%アップしました。また、土壌窒素量が低いエリアへ増肥したことでNDVIと収穫量の改善にも繋がりました。各区画の平均窒素施肥量と収穫量-CropScopeを導入して効果はあったと思いますか?今回CropScopeを使って土壌を可視化してみて、これまでの自分の感覚とも一致しているということが確認できました。そしてそれを踏まえて可変施肥を実施したことで自分のやりたかった施肥戦略をしっかりと実現することができました。また、馬鈴薯圃場での可変施肥の実証結果を見て、CropScopeを導入した効果があった、導入しなかったら実現することはできなかったと実感しています。-そもそもなぜ先進的な取り組みに踏み出したのでしょうか?せっかくハイスペックな機械(KUHN社AXIS40.2H-EMC W-P)を買ったのでその性能を最大限に発揮し、より高度な施肥を実現することで、営農そのものを変えたいという思いがありました。-CropScopeの操作感はいかがですか?施肥マップの作成を初めて使ってみたとき簡単だと思いました。簡単すぎて大丈夫かなと心配になりました(笑)。-様々な営農支援システムがある中でCropScopeを導入した決め手はありますか?自分は何もしなくても圃場の登録さえしてしまえば衛星データがどんどん蓄積されて、ちゃんと情報の集約がされている、見たいものが見れる形になっているというところが良かったです。施肥マップを作成するときも他のシステムでは基データを探すのが煩雑でしたが、CropScopeは衛星を見てる画面から施肥マップ作成画面まで操作が直感的にできます。また、自分で肥料の設定などを細かくできるので、好きな時に自由に設定できるのはいいのかなと思います。マップの作成も最初はできるのか不安でしたが、理解さえしてしまえば大丈夫でした。どれくらいの施肥量でやりたいかがはっきり決まっていれば、あとはそれを打ち込むだけなので簡単だと思います。自分がやりたい施肥戦略が決まっている農家さんには、それを実現するシステムとしてCropScopeはとても簡単でおすすめです。-CropScopeを使った今後の展望はありますか?今後はどのように減肥をするか、増肥も含めて効率的な施肥をすることで収穫量の差を無くして、さらにその収穫量をどれだけ引き上げられるかという最初の目的を追求していきたいです。4年輪作なので4年やって初めてだいたいの結果がやっと見えてくると思います。そのため今は蓄積段階だと思っています。ある程度結果が見えてきた段階でそこで初めて次はこうしてみようなど色々な方向性が見えてくるのかなと思います。次は播種の精密化を図っていきたいと思います。播種も可変的に出来る様になれば良いと思っており、次の開発に期待してます。-導入を検討している方へ一言をお願いします先進農機については、取組状況について個人差が大きい状況です。失敗したくないと思う方も多いと思いますが、可変施肥機は一回使ってみれば良さが分かると思います。こういったものは自分の知識としても蓄積されていくので、やりたいと思ったら少しでも早くやった方がいいと思います。